ダイアグラム譜

ダイアグラム譜は運指を示してくれる!

ダイアグラム譜はギター特有の表記です。

ダイアグラム譜は運指に関する情報が示されています。

このページではダイアグラム譜の読み方、ダイアグラム譜の実例について整理します。

本来運指は、経験を積んでいくと、自然と身につくものなのです。

ただしソロギター初心者の場合、TAB譜だけ見てもどう押さえたらよいか分からず、挫折ポイントになります。

そういった意味では、下敷きとなる経験が少ない初心者にとってこそ、ダイアグラム譜の重要性が高まります!

ダイアグラム譜の読み方

ダイアグラム譜とは、TAB譜で示された弦・フレットをどの指で押さえればいいのかを、ギターの指板の形式で表現したものです。

つまりダイアグラム譜の読み方が分かれば、運指のトラブルは解決できます!

ダイアグラム譜の構成

まずダイアグラム譜全体の構成を確認します。

ダイアグラム譜を構成する各パーツについて簡単に整理します。

項目 説明

① 横線

横線は弦を表現しています。

② 縦線および下部の数字

縦線はフレットを表現し、下部の数字はフレット番号を意味しています。

①②を合わせてギターの指板を表現しています。

③ 指板上の数字

横線および縦線で表現されるフレット上の数字は、押さえるべきフレットの位置と、押さえる指を示しています。

④ 指板左側の○と×

指板左側の○と×は開放弦に関する情報です。

⑤ 矢印

フレットを押さえる指の移動を表現しています。

これから各パーツについて詳しく触れたいと思います。

なお以降の解説は右利き用ギターを想定して解説しており、ダイアグラム譜上で示される指は左手の指であるものとします。

縦線と横線で指板を表現

横線(弦)および縦線(フレット)で指板を表現し、下部の数字がフレット番号を意味しています。

下の画像を見てください。

指板上に数字が3つありますが、それぞれ以下を意味しています。

指板上の数字 数字が意味する押さえるポイント

1

2弦1フレット

2

4弦2フレット

3

5弦3フレット

つまり上記の3箇所を押さえることを示しています。

なお1フレットの左側の太い縦線は、ギターのナットを表しています。

指板上の数字とアルファベットで指がわかる

指板上の番号は、設置されている弦・フレットを押さえる左手の指を示しています。

指板上の数字は1から5まで使われ、それぞれ左手の指に対応しています。

指板上の数字 左手の指

0

親指

1

人差し指

2

中指

3

薬指

4

小指

以上をまとめると、指板上に設置されている3つの数字からは、以下が読み取れます。

指板上の数字 押さえる場所 押さえる指

1

2弦1フレット

人差し指(左手)

2

4弦2フレット

中指(左手)

3

5弦3フレット

薬指(左手)

具体的にはこんなカンジです。

指板上のアルファベット

今回の例にはありませんが、指板上にアルファベットが設置される場合があります。

指板上のアルファベットは、設置されている弦・フレットを押さえる右手の指を示しています。

指板上のアルファベットは以下の表の5種類が用いられ、それぞれ右手の指に対応しています。

指板上の数字 右手の指

i

人差し指

m

中指

a

薬指

ch

小指

p

親指

以上をまとめると、指板上に設置されている3つのアルファベットからは、以下が読み取れます。

指板上の数字 押さえる場所 押さえる指

i ①

4弦5フレット

人差し指(右手)

i ②

5弦5フレット

人差し指(右手)

i ③

6弦5フレット

人差し指(右手)

具体的にはこんなカンジです。

◯に注目!

指板の左側の「◯」と「×」は開放弦に関する情報です。

表記のパターンは以下の3つです。

表記 意味

弾く開放弦です。

つまり「◯」が付いている弦は押さえずに、TAB譜で示されたタイミングで弾くことを意味しています。

×

弾かない開放弦です。

つまり「×」が付いている弦は押さえず、また弾くこともないということを意味しています。

表記なし

押さえる弦です。

つまり表記がない弦はどこかしらのフレットを押さえるということを意味しています。

改めて画像を見てみましょう。まず1弦と6弦に「×」が付いていることが確認できます。よって今回は1弦と6弦を弾かないということが読み取れます。

次に4弦と5弦に何も表記がないことが確認できます。よって今回は4弦と5弦は開放弦ではないということが読み取れます。実際にそれぞれ2フレット、3フレットを押さえることが、指板上の数字から判断できます。

最後に2弦と3弦に「◯」が付いていることが確認できます。よって今回は、2弦と3弦は開放弦を弾くということが読み取れます。

矢印は指の変化のサイン

ただ先ほどの説明は、今までのルールと食い違うところが1つあります。

2弦です。2弦は「◯」が付いていますが、1フレットに「1」が付いています。

ただよく見ると、矢印もついています。

矢印は左手の指の変化を表したものです。スコアの特定のタイミングで、矢印の始点から終点へ指を変化させます。

改めて2弦を画像で確認しましょう。

1フレットに「1」が設置されていて、指板の左側に「◯」があります。そして「1」を始点、「◯」終点とした矢印が結んできます。

以上をまとめると、最初は1フレットを人差し指で押さえ、特定のタイミングが来たら人差し指を離して、改めて開放弦で弾くという指の変化が読み取れます。

最終的にはこのような形で押さえることを表しています。

ダイアグラム譜に関する細かい話

最後にダイアグラム譜にまつわる細かい話を整理します。

今までの説明で、ほとんどダイアグラム譜についてご説明しましたが、残りの細かい話を取り上げます。

ホントに細かい話ですので、初心者の方は読み飛ばしても問題ないですよ。

カッコ付きの数字

指板上の数字にカッコが付いていることがあります。

これは指定された位置を押さえるけれど、弾かないという意味です。

具体例を見てみましょう。

4弦の2フレットに「2」が設置されていますが、カッコも付いています。よって4弦は中指で押さえますが、弾くわけではないということです。

弾くわけではないのに押さえることに、どのような意味があるのでしょうか。

その理由として挙げられるのは以下の2点です。

  • 鳴っている余計な音を止める

  • 余計な音を鳴らさないようにする

上の例でいうと、4弦開放はD音です。それに対して、ダイアグラムで示されているのはCコードです。

例えば前のコードがDmだったとして、Dが鳴り続けた状態のままCコードへ移行してしまうと、コードの構成音にDが加わったDadd9のように聞こえてしまうのです。

また、4弦2フレットを押さえずに弾いていて誤って弾いてしまった時も同様です。特にネイルアタックを使う時に陥りがちな問題で、特定の弦だけを正確に弾くのではなく大雑把に狙って弾く場合、コード感とは違う音を鳴らしてしまうことがあります。

それを防止するための保険として、たとえ弾かない弦でも押さえる必要があるのです。

矢印の動き

矢印の扱いに関しては以下のルールに基づいて設置しています。

ダイアグラム譜をまとめるために矢印を使う

左側を見てください。

本来であれば、左のように変化するポイントごとにダイアグラム譜を設置する必要があります。ですがスペースの都合上、右のように矢印を使って1つのダイアグラム譜にまとめて表現します。

1弦開放から1弦3フレットに向かう矢印と、1弦3フレットから1弦5フレットに向かう矢印を使って、指の変化という形で運指を表現しています。

矢印は弦をまたぐようには設置しない

上の画像を見てください。

説明のために、ダイアグラム譜が2段組になっています。「◯」がついたダイアグラム譜が正しいダイアグラム譜の表記で、「△」がついたダイアグラム譜は適切ではないダイアグラム譜の表記です。

まず「△」がついたダイアグラム譜を見てください。TAB譜の動きを、1つのダイアグラム譜で表しています。

続いて「◯」がついた正しい表記のダイアグラム譜を見てください。TAB譜の動きを、2つのダイアグラム譜で表しています。

正しい表記のダイアグラム譜は、弾く弦が2弦から1弦に移ったタイミングでダイアグラム譜を分けています。

私が作成するダイアグラム譜を作成する際は、他の弦に向かって矢印をつける必要がある場合、ダイアグラム譜を分割します。これは他の弦に矢印が向かうデザインは、多くの場合、可読性が低くなるためです。

矢印が他弦に向かうパターン

先述のルールにも例外はあります。

赤い波線で囲われたダイアグラム譜が、他の弦に向かって矢印がつくダイアグラム譜です。

このダイアグラム譜は、1拍目の3蓮府の2番目の音から小節の終わりまでのフレーズの指の変化を、1つのダイアグラム譜にまとめて表しています。

これはダイアグラム譜をまとめた方が、フレーズ全体の指の変化を捉えやすいためです。このように特別な理由がある場合のみ、他の弦に向かって矢印がつきます。

以上を踏まえて、改めてダイアグラム譜を見てみましょう。

最初に1弦10フレットを人差し指で押さえ、最後は4弦14フレットを薬指で押さえます。途中に出てくる、4弦10フレットと4弦12フレットの間の両矢印は、同じ指が指定されているフレットを行き来することを表しています。