チョーキング

チョーキングとは?

チョーキングはソロギターで頻出のテクニックの1つです。その特徴的な音色によって、楽曲にブルージーな雰囲気を演出することができます。

チョーキングは主に右手ではなく、左手を使います。

なお以降の解説は右利き用ギターを想定して解説しており、左手で弦を押さえ、右手で弦を弾くものとします。

チョーキングは弦を「ずらす」!

チョーキングは弾いた弦が鳴っている状態で、押さえている指を押し上げたり、あるいは引き下げたりして音程を変える奏法です。つまり押弦した状態で、弦をずらして音に変化をつけます。

弦をずらす方法は、チョーキングを行う弦によって、大きく2つに大別されます。

チョーキング方法

高音弦(1〜3弦)

引き上げて弦をずらしてチョーキングする

低音弦(4〜6弦)

弦を引き下げて弦をずらしてチョーキングする

3弦の引き上げ例です。

3弦の引き下げ例です。

ただこれらはあくまで1つの目安ですので、やりやすい方でチョーキングしてください。

なおこのページでは特に言及しない場合は、引き上げてチョーキングするものとして解説します。

チョーキングの種類整理

チョーキングはいくつか種類があります。ソロギターで用いられるチョーキングは、以下に分類されます。

チョーキングする方法 チョーキングの種類

弦を引き上げて音を出す

  1. クォーターチョーキング

  2. ハーフチョーキング

  3. 1音(全音)上げチョーキング

引き上げた弦を元の位置に戻して音を出す

  1. チョーキングダウン

引き上げパターンのチョーキング

まず引き上げて音を出すパターンのチョーキングを整理します。引き上げパターンのチョーキングは出す音の高さによって、3種類に分類されます。

項番

名称

譜面上の表記

説明

1

クォーターチョーキング

Q.C.

1/4音分、弦を引き上げます。

正確に1/4音分というより、僅かに弦を引き上げて、音程が変わるニュアンスを出します。

2

ハーフチョーキング

H.C.

半音分、弦を引き上げます。

1音(全音)上げチョーキングと比べて、引き上げる幅は半分ほどです。

3

1音(全音)上げチョーキング

C.またはcho.

1音分、弦を引き上げます。

4種類の中で、最も引き上げる幅が大きいです。

引き上げパターンのチョーキングは、チョーキングを行うタイミングよって、さらに分類されます。

  • 音を出した直後にチョーキング ※上記の画像のイメージ

  • 出した音をタイで伸ばしている時にチョーキング

下の画像は、タイで伸ばしているタイミングでのチョーキングの表記例となります。


引き下げパターンのチョーキング

次に引き上げた弦を元に戻して音を出すチョーキングを確認します。引き上げた弦を元の位置に戻して音を出すチョーキングのことを、チョーキングダウンと言います。

チョーキングダウンは元の引き上げ具合と対応して、「Q.D.」「H.D.」「C.D.」と表記されます。

チョーキング動作確認

チョーキングの動作を確認するため、クォーターチョーキングに挑戦してみましょう。

動画の再生速度ですが、調節することができます!

PCでは、歯車マークの設定ボタンから調節可能です!

モバイルでは、専用のアプリを利用することで可能となります!

詳しくは こちら をご覧ください。

チョーキングは以下の流れで音を出します。

項番 手順
1

チョーキングするポイントを押さえて弦を弾く

2

弾いた弦が鳴っている状態で、押さえている指を引き上げて(引き下げて)音を出す

チョーキングでうまく音を出すコツは、引き上げる力と指です。

チョーキングにはかなりの力が必要です。1本の指で十分に引き上げることが難しい場合は、2本の指で引き上げましょう。2本指であれば、安定して弦を引き上げることが可能となります。

さっそく譜面通りに演奏してみましょう。五線譜・TAB譜・ダイアグラム譜を見ると、2つの音を出すことが読み取れます。

TAB譜の読み方はこちら、ダイアグラム譜の読み方はこちら

そして2つ目の音符に、『C.』が2音の間のタイ上に表記されていることが読み取れます。つまりタイで音をのばしているタイミングで、1音(全音)上げチョーキングを行うことを意味しています。

以上をまとめると、以下の表と図に整理されます。

項番

音の高さ

音の長さ

押さえる位置

押さえる指(左手)

弦を弾く指(右手)

1

B(シ)

8部音符

2弦12フレット

薬指

中指

2

C(ド)

8部音符

2弦12フレット

薬指(と中指)でチョーキング

なし

薬指で押さえている12フレットだけで力が足らず、十分に弦を引き上げられない場合は、11フレットを中指で押さえて2本指で引き上げてください。

このようにチョーキングは、弦を「ずらして」音を出すテクニックです。

チョーキングの表記

今回ご紹介した表記以外にも、チョーキングの表記は多くのバリエーションがあります。

まず「チョーキング」という名前は日本では一般的ですが、海外では「ベンド」「ベンディング」という名前で表現されます。どちらもチョーキングと同じ動作を意味しています。

また引き上げ・引き下げを区別するために、引き上げパターンのチョーキングを『U』という記号を使って明記する場合もあります。

項番

名称

譜面上の表記

説明

1

チョークアップ

U

引き上げて行うチョーキング。

  • Q.U:クォーターチョーキング

  • H.U:ハーフチョーキング

  • U:1音(全音)上げチョーキング

他にも出版社によって表記方法がさまざまありますので、よく確認してください。

チョーキング練習

前項ではチョーキングの動作確認として、『C.』を1拍分を弾いてみました。本項では他の種類のチョーキング、チョーキングのエチュードを使ってもう少し長く弾いてみましょう。

チョーキングの引き上げ練習

先ほどご紹介したチョーキングを練習しましょう。

音を出した直後にチョーキング

まずは最も基本である、音を出した直後にチョーキングするパターンです。

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項番

名称

譜面上の表記

説明

1

クォーターチョーキング

Q.C.

1/4音分、弦を引き上げます。

1/4音音程を上げるというより、音程が変わるニュアンスが出ればいいです。

2

ハーフチョーキング

H.C.

半音分、弦を引き上げます。

3弦12フレットをチョーキングした時に、チューナーがG#音またはA♭音がなるようにチョーキングしましょう。

3

1音(全音)上げチョーキング

C.またはcho.

1音分、弦を引き上げます。

3弦12フレットをチョーキングした時に、チューナーがA音になるようにチョーキングしましょう。

タイで音を伸ばしているタイミングでのチョーキング

次はタイで音をのばしているタイミングでのチョーキングの練習として、Q.C.をやってみましょう。

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項番

名称

譜面上の表記

説明

1

クォーターチョーキング

Q.C.

タイで音をのばしているタイミングで、1/4音分、弦を引き上げます。

1/4音音程を上げるというより、音程が変わるニュアンスが出ればいいです。

チョーキングダウン

最後に引き上げた弦を元に戻して音を出すチョーキングの練習として、Q.C.〜Q.D.をやってみましょう。

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項番

名称

譜面上の表記

説明

1

クォーターチョーキング

Q.C.

タイで音をのばしているタイミングで、1/4音分、弦を引き上げます。

1/4音音程を上げるというより、音程が変わるニュアンスが出ればいいです。

2

チョーキングダウン

Q.D

Q.C.の後、同じくタイで音をのばしているタイミングで、引き上げた弦をもとに戻して音を出します。

Q.D.で別途音を出す訳ではなく、あくまでQ.C.で出した音を引き戻して音を出す点に注意しましょう。


チョーキングの練習にはチューナーを活用することをオススメします。どの程度弦を引き上げると、どのぐらい音が高まるかという感覚を獲得するためには、チューナーを使い、随時音の高さを確認する方法が最も有効です。

ただ慣れないうちは、正確な音程を出すことを考える必要はありません。まずはチョーキングの引き上げたり、引き下げたりする動作そのものにに慣れることに集中しましょう。ある程度慣れてきたら正確な音程を出す事を目指してください。

チョーキングのエチュード1

チョーキングの練習として、簡単なエチュードにトライしてみましょう。

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今回気をつけるべきポイントは、以下の4点です。

全体解説

譜面では出す音の数(弾く動作)は6個(6回)ですが、動画のように、何度も弾き直してそれぞれのチョーキングの引き上げ(引き下げ)幅によるピッチ(音)の変化を練習しましょう。

最初の3音は引き下げてチョーキングします。後の3音は引き上げてチョーキングします。今回は全音を出すために、薬指で押さえて、引き上げ・引き下げを行います。

クォーターチョーキング

最初の2音がクォーターチョーキングです。

ピッチが上がるニュアンスを出すだけなので、正確に音を出す必要はありません。強いて言うなら、上げすぎない(ハーフチョーキングに近づきすぎない)ように注意してください。

正確にやりたければチューナーを利用して練習すると良いでしょう。チューナーはデジタル式で、12音階全ての音階を合わせられるものであれば音程の確認が可能です。例えば1音目の音はEなので、メータの表示がEのまま針が一番右になるか、あるいは表示がFで1番左になるまで、弦を引き上げてください。

ハーフチョーキング

2音目、3音目はハーフチョーキングです。

指を引き上げる(引き下げる)動作が難しい場合は、薬指だけでなく、中指も使ってチョーキングしましょう。

半音の引き上げ(引き下げ)の程度を確認する場合は、上述の通りチューナーを使いましょう。例えば3音目の音はDなので、チューナーの表示がD#となるまでチョーキングしてください。

1音(全音)上げチョーキング

5音目、6音目は1音(全音)上げチョーキングです。

薬指だけでは引き上げることが難しいと思いますので、中指と一緒に2本で引き上げてください。

具体的にチョーキング具合を確認する場合は、引き続きチューナーをご利用ください。例えば5音目の音はBなので、チューナーの表示がC#となるまでチョーキングしてください。

チョーキングのエチュード2

今度はもう少し長いエチュードを使って、チョーキング練習を進めましょう。

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今回気をつけるべきポイントは、以下の5点です。

全体解説

今回のエチュードでチョーキングを行う弦は2・3・4弦です。

3弦が特に要注意です。 3弦はテンションが強い、つまり弦の張りが他の2本に比べて弦の張りが強いためです。チョーキングする際に、押弦していた指1本で押し上げることが難しい場合は、他の指を添えてチョーキングをすることで動作が安定します。

1小節目

  • 3弦12フレットでH.C.

    • 薬指でハーフチョーキングします。薬指1本でチョーキングが難しい場合は、中指も一緒に添えて、2本指でチョーキングしましょう。

  • 3弦9フレットでH.C.

    • 薬指でハーフチョーキングします。薬指1本でチョーキングが難しい場合は、中指も一緒に添えて、2本指でチョーキングしてください。

  • 4弦12フレットでQ.C.〜Q.D.

    • 薬指でクォーターチョーキング・チョーキングダウンします。4拍目オモテから4拍目ウラにかけてチョーキングし、4拍目ウラから2小節目1拍目オモテにかけてチョーキングダウンします。

    • 1小節目4拍目オモテ〜2小節目1拍目オモテまでで、弦を弾く動作はあくまで4拍目オモテだけです。クォーターチョーキング・チョーキングダウンのタイミングでは弦を弾きません。

2小節目

  • 3弦9フレットでQ.C〜Q.D

    • 中指でクォーターチョーキングとダウンチョーキングダウンを繰り返します。

3小節目

  • 3弦12フレットでH.C.

    • 1小節目と同じです。薬指1本でチョーキングが難しい場合は、中指も一緒に添えて、2本指でチョーキングしましょう。

  • 3弦9フレットでH.C.

    • 1小節目と同じです。薬指1本でチョーキングが難しい場合は、中指も一緒に添えて、2本指でチョーキングしましょう。

  • 3弦12フレットQ.C.〜Q.D.

    • 1小節目とほとんど同じ動作ですが、弾く弦は3弦となります。

4小節目

  • 2弦8フレットでC.

    • 中指でチョーキングします。1音(全音)ですので、かなり弦を引き上げる必要があります。人差し指を添えてチョーキングしましょう。