ソロギターの楽譜

ソロギターの楽譜は一味違う

ソロギターのはじめの第一歩として、ソロギターで用いられる楽譜について確認しましょう。

楽譜が読めなければ好きな楽曲を演奏することができませんから、このユニットで楽譜の読み方をマスターしましょう。


3種類の表記

ソロギターの楽譜は一般的な五線譜のものとは少し異なります。

楽譜というと、五線譜で表現されるものが一般的だと思います。ですが、ソロギターで使われる楽譜は必ずしも五線譜だけで構成されてはいません。

私が作成するソロギター用の楽譜は以下の3つの表記で構成されます。

種類 説明

①五線譜

楽譜として最も一般的な表記です。

音の高さと長さを表しています。

②TAB譜面

特別な表記です。

五線譜と対応しており、五線譜で示された音を出すために押さえるべき弦とフレットを表しています。

TAB譜の詳細はこちらをご確認ください。

③ダイアグラム譜

特別な表記です。

TAB譜と対応しており、TAB譜で示された弦・フレットを押さえる左指を示しています。

私はTAB譜の下にダイアグラム譜を設置するスタイルで表記しています。

ダイアグラム譜の詳細はこちらをご確認ください。

ソロギターを演奏する上では、特にTAB譜が重要です。

TAB譜が読めるようになりさえすれば、音を出すことができるようになるからです。

初心者の方は、ひとまずTAB譜を読み取ることに集中しましょう。

メロディと伴奏

ソロギターの楽譜ではメロディと伴奏のパートを1つの五線譜・TAB譜で表現します。

下の画像を見てください。

音符の棒・旗(符尾)が上向きの音がメロディパートです。上の画像では、青い音がメロディパートとなります。

音符の棒・旗(符尾)が下向きの音が伴奏パートです。上の画像では、赤い音が伴奏パートとなります。

棒や旗が意味するものは、メロディ・伴奏パートを区別することだけです。

つまり音の高さによって棒や旗の向きは変化しない点に注意して下さい。

ピアノ譜と比較

ピアノ譜とざっくり比較してみましょう。

ピアノ譜は大譜表というト音記号とヘ音記号が併記されている形式を取っていて、それぞれメロディパートと伴奏パートを表しています。(あくまでざっくりです)

つまりメロディと伴奏の段組が分かれているのです。

その点、ソロギター用楽譜では、両パートが1つの段組で表現されます。そして両パートを見分ける方法は符尾の向きです。

ソロギター特有の記号

ソロギターには様々な奏法があります。

ソロギターの譜面では様々な奏法を表現するために、多くの特有の記号を用います。

下にいくつか例を挙げます。

ストローク

人差し指と中指(または中指と薬指)などで複数の弦をまとめて鳴らす奏法です。

タッピングハーモニクス

弦を叩くことにより、ハーモニクス音を出す奏法です。

ストリングスヒット

右手の指先を弦に軽く当てることにより、打音を出す奏法です。

五線譜との付き合い方

先ほども述べたように、初心者の方は五線譜よりもTAB譜に注目しましょう。

ただ五線譜を無視してもよいという意味ではありません。

前ページでも言及しましたが、五線譜も見るクセをつけた方がよいでしょう。

確かに五線譜を見なくても、TAB譜だけ見ていれば演奏することは可能です。

TAB譜は良くできていて、弾くべき弦・押さえるべきフレットがTAB譜だけで判断できます。

(TAB譜で指定された弦を弾くための指はダイアグラム譜から判断できます)

しかしTAB譜ばかり見ていると、TABで示されているフレットを押さえる事ばかりに集中してしまい、押さえたフレットからどんな音が出るかに意識が向かなくなってしまいます。

この出そうとしている音を意識しないままにフレットを押さえてる状態は、単語の意味がわからない言語を音読して習得しようとしている感覚と似ているかもしれません。

出そうとしている音に意識が向いていないことによって、音の繋がりがよくわからなくなってしまいます。

個別の音の繋がりがつかめないということは、楽曲全体の流れを理解することが困難になってしまうということです。

楽曲全体の流れへの理解が不足することによって生じる代表的な悪影響は2点挙げられます。

項目 説明

音楽理論的な視点が欠如してしまう

音を意識しないと、演奏している楽曲を音楽理論的に理解・解釈しようとする視点が養われません。

これは例えば「なぜこのようなコード進行なのか」といった視点が失われてしまうことです。

音楽理論的な視点が身につかないということは、音楽理論への理解に直接的に影響します。

たとえ音楽理論を参考書で座学的に学んだとしても、普段のソロギター練習での音楽理論の応用経験が不足しているため、座学的な知識がどうしても腑に落ち切らないのです。

音楽理論的な知識・理解がなければ、ソロギター初心者から中級者・上級者へステップアップに苦労することになります。

これは例えば「オリジナル楽曲を作曲してみたい」「既存楽曲をアレンジしてみたい」という時に、基礎となる知識がないため、何をどうしたらよいかわからないという状態になってしまう恐れがあるという意味です。

暗譜が困難になる

音を意識しないと、運指を覚えるための手がかりが減ってしまいます。

次に出すべき音が分かっていれば、論理的にある程度押さえるべき弦・フレットを推測することができます。

ですが音に関する情報がないと、言わばヒントが何もない状態ですから、TAB譜の情報を丸暗記する必要があり、非常に苦労します。

また他の楽曲で覚えた運指パターンを応用することも困難になります。

たとえ似たパターンの運指を以前に練習していたとしても、音の類似性という形で認識できないため、以前練習した内容を活用できないのです。

無理のない範囲で、TAB譜に合わせて五線譜も見るクセをつけましょう。